お知らせ
東京府設置から150年目の今年、本展では「東京」を舞台とした近代文学作品について、現在東京の都心を環状運転する山手線各駅周辺の地域に焦点を当て紹介しています。
森林太郎立案「東京方眼図」春陽堂 明治42年
現在一般的に使用されている方眼地図は、明治期の日本ではまだ目新しいものでした。鴎外は「東京方眼図」の作成を企画し、明治42年6月に一枚地図が、同年8月に地域索引等が収録された冊子が発行されました。冊子には、鴎外による地図の使用方法が添付されています。明治43年から雑誌「スバル」で連載された小説『青年』で、主人公の小泉純一がこの地図を手に東京を歩いたことでもよく知られています。
さてこの地図を本展になぞらえ改めて見ると、掲載区域が東京市内(15区)に限られていることが分かります。発行当時に開業していた、新橋、上野、日暮里、渋谷、目黒などの山手線の駅名も地図上に見つけることができます。しかし、山手線が環状運転をし始めるのは大正14年のことなので、地図上でも山手線の路線は繋がっていません。また市外にあたる新宿や池袋は、発行当時開業していたにも関わらず、地図からはみ出し掲載されていません。
現在の私達が捉える「東京」と、鴎外が生きた明治・大正の「東京」の違いを感じ取ることができます。
現在からちょうど150年前の1868年、江戸府は東京府へと改称されました。
東京には鴎外の他たくさんの文学者が暮らし、それぞれの視点から街の風景を作品に遺しています。これらの描写の中には現代の私たちにとって馴染み深い風景もあれば、まったく異なる景色もあります。本展では、現在東京都心を環状運転する山手線周辺の地域に焦点を当て、ゆかりのある近代文学作品や文学者、鴎外の足跡を館蔵資料から紹介しています。
明治大正から賑やかだった上野や新橋、当時は郊外だった新宿や渋谷など、文学者がどのように描いたのかを眺めながら、東京をひとめぐりします。鴎外と一緒に、時代を超えた東京散歩をお楽しみください!
また7月9日の鴎外命日(鴎外忌)を記念して、7月限定で鴎外遺言書の原資料を展示しています。鴎外が病床から親友・賀古鶴所に遺言を口述筆記させたのは、ちょうど96年前の今日1922年7月6日のことでした。こちらもお見逃しなく!
特別展「鴎外と旅する日本」も本日で最終日となりました。

6月26日(火)は第4火曜日のため全館休館です。なお、6月27日(水)は午前10時から通常開館いたします。皆さまのご来館をお待ちしております。
<現在会期中の展示>
特別展「鴎外と旅する日本」は7月1日(日)までです。詳細はこちらから→http://moriogai-kinenkan.jp/
森鴎外記念館NEWS23号をアップしました!
本号では画家・藤田嗣治の没後50年を記念し、鴎外と藤田父子の関係について、大妻女子大学教授の須田喜代次氏にコラムをご執筆いただきました。また昨年開館50年を迎えた、日本近代文学館の取り組みをご紹介しています。
本誌は館内配布の他、区内施設や都内文学館の一部などでも配布いたします。
また、当館HPでもご覧いただけます。是非ご覧ください!